講座内容
講義概要
「クリエイティブタウン・シリーズ:「まちのへそ」からはじまる地方創生」の3回目。このシリーズでは、地域開発・再生の手法として従来の産業社会モデルに代わる「クリエイティブタウン・モデル」を提案、理論と実現方法を事例を通して考えていく。シリーズ3回目の「基礎編❸クリエイティブタウンを実現する:3ポイント・アプローチ」では、3ポイント(ビジネス、デザイン、スキーム)について、ぞれぞれ2〜3週間をあて、よりくわしく検討する。事例には、川越一番街の歴史的町並みをいかしたまちづくり、黒壁で知られる長浜のまちなか再生、高松丸亀町商店街の再開発、石巻市のまちなか復興をとりあげる。
学習目標
地域創生をめざす受講者(各地域のまちづくりのリーダーおよびフォロワーのみなさん、自治体職員、大学等でまちづくりを学ぶ人々など)が、まちなか再生が地方創生の鍵であると理解し、それぞれのフィールドにおいて、クリエイティブタウン実現のための戦略や方針を描き出せるようになることを目指します
Week 1:ビジネス①ライフスタイルのブランド化、生活の誇りを産業に
講義1〜5
- 1-1. イントロダクション&自己紹介
- 1-2. ドキュメンタリー:実践「ライフスタイルのブランド化」
- 1-3. ライフスタイルのブランド化への期待(渡邊満子さんに聞く)
- 1-4. ライフスタイルのブランド化の経済学的意味
- 1-5. 質疑応答
- Week 1の課題:選択式
Week 2:ビジネス②商店街の再定義、まちなかの役割を問い直す
講義1〜4
- 2-1. 中心のあり方と役割:高松丸亀町商店街の次の一手
- 2-2. 健康ビレッジ
- 2-3. ライフスタイルのブランド化:6つのポイント
- 2-4. 質疑応答
- Week 2の課題:選択式
Week 3:デザイン① 歴史的な都市に学ぶ
講義1〜5
- 3-1. ドキュメンタリー:川越一番街のまちづくり規範と町並み委員会
- 3-2. 町並み委員会の30年(可児一男さんに聞く)
- 3-3. 快適な町の条件①:ストラスブール
- 3-4. 快適な町の条件②:川越の町並み
- 3-5. 質疑応答
- Week 3の課題:選択式
Week 4:デザイン② クリエイティブ・タウンのめざすデザインとその実現
講義1〜4
- 4-1. 都市をつくる建築、つくらない建築
- 4-2. パタンランゲージ:アレキサンダーの世界へようこそ(中埜博講師)
- 4-3. 町並み型を実現する方法:高松丸亀町の場合
- 4-4. 質疑応答
- Week 4の課題:選択式
Week 5:スキーム① 高松丸亀町再開発のスキーム
講義1〜5
- 5-1. ミニドキュメンタリー:商店街再開発を成功させた高松丸亀町
- 5-2. 事業化手法からみた動向:金融機関から見た事業の特色①(薄井充裕講師)
- 5-3. 各種補助金スキームの導入例:金融機関から見た事業の特色②(薄井充裕講師)
- 5-4. 高松丸亀町まちづくりのスキーム(再整理)
- 5-5. 質疑応答
- Week 5の課題:選択式
Week 6:スキーム② 戦略と各論
講義1〜6
- 6-1. まちなか再生の戦略
- 6-2. スキームの基本:まちづくり会社
- 6-3. 再開発制度を新しい考え方で活用
- 6-4. 信託制度の活用(田中健次講師)
- 6-5. 事業計画を組み立てる
- 6-6. 質疑応答
- Week 6の課題:選択式
Week 7:スキーム③ エリアマネジメント(小林重敬講師)
講義1〜9
- 7-1. エリアとエリアマネジメント
- 7-2. エリアマネジメントの考え方
- 7-3. エリアマネジメントと関係性
- 7-4. 大都市都心部のエリアマネジメント事例
- 7-5. 提言(環境まちづくりフォーラム実行委員会)
- 7-7. 地方都市中心市街地タウンマネジメント
- 7-8. 地方都市におけるエリアリノベーション等
- 7-9. 近年の社会動向に対応するエリアマネジメントの新たなテーマ□エリアとエリアマネジメント
- Week 7の課題:選択式
最終課題:レポート
講師・スタッフ紹介
福川裕一
1950年生まれ。千葉大学名誉教授。2015年3月まで千葉大学大学院工学研究科/建築・都市科学専攻/建築コース教授。主な編著書に『ゾーニングとマスタープラン』(学芸出版、1997)、『ぼくたちのまちづくり』(全4冊、岩波書店,1999)、『持続可能な都市』(共著・岩波書店、2005)『中心市街地活性化とまちづくり会社』(建築学会、丸善、2005)、『都市空間のデザイン』(大谷幸夫著、福川裕一編、岩波書店、2012)、『まちなかからはじまる地方創生:クリエイティブタウンの理論と実践』(共著・岩波書店、2018)など。
ほかに5人のゲスト講師が参加します。
前提条件:とくにありません
各週課題;選択式の問題
最終課題;レポート課題(A4一枚)
終了条件:60%以上
講師・スタッフ紹介
福川裕一
1950年千葉県市川市生まれ。1972年4月東京大学工学部都市工学科卒業,1978年3月同大学院工学系研究科都市工学専攻修了、工学博士。もと千葉大学工学研究科/建築・都市科学専攻/建築コース教授。2015年3月31日定年により退職。千葉大学名誉教授。
専門は都市計画・アーバンデザイン。歴史的環境の保全、既成市街地(中心市街地)再生をテーマに、川越一番街、佐原、長浜、小諸、高松市丸亀町、石巻中心市街地などの調査研究やまちづくりにかかわる。1992年からはベトナムの町並み保存プロジェクトにも参加。ホイアンは世界遺産に。中心市街地活性化には「合意形成システム」と「市民による開発システム(まちづくり会社)」の二本柱が必要が持論だったが、現在はそれを「デザイン」「スキーム」「ビジネス(ライフスタイルのブランド化)」の「3ポイント・アプローチ」へ拡張・展開中。
社会活動としては、川越一番町並み委員会・副委員長、NPO全国町並み保存連盟・代表理事、一般社団法人讃岐ライフスタイル研究所・代表理事(共同)、一般社団法人クリエイティブタウン推進機構・代表理事(共同)。ICOMOSの下部組織CIVVIH(International Committee on Historic Towns and Villages)メンバー。
主な著書に『ゾーニングとマスタープラン』(学芸出版、1997)、『ぼくたちのまちづくり』(全4冊、岩波書店,1999)、『持続可能な都市』(共著・岩波書店、2005)『中心市街地活性化とまちづくり会社』(建築学会、丸善、2005)、『都市空間のデザイン』(大谷幸夫著、福川裕一編、岩波書店、2012)、『まちなかからはじまる地方創生:クリエイティブタウンの理論と実践』(共著・岩波書店、2018)など。
「都市住宅に対する都市計画的アプローチとは何か」(都市住宅学9)で都市住宅学会賞(1998)、『ぼくたちのまちづくり』で都市計画学会石川賞(1999)、ホイアン町並み保存プロジェクトで建築学会賞(2000)。
建築作品・都市開発プロジェクトとしては「木曽暮らしの工芸館」(新建築1994年8月号)、「高松市丸亀町商店街A街区市街地再開発」(新建築2008年1月号)、石巻市中央三丁目1番地区第1種市街地再開発事業、同立町二丁目5番地区第1種市街地再開発事業(新建築2018年2月号)など。高松市丸亀町プロジェクトは2008年都市計画学会石川賞を受賞。
渡辺満子
1962年生まれ、東京都出身。メディアプロデューサー。1985年に日本テレビに入社後、『キユーピー3分クックキング』のディレクター、プロデューサーを20年あまり担当し、そのほか数多くの特別番組をプロデュース。同社を退社後フリーとなり、テレビ番組に限らず、様々なメディアでプロデューサーをしている。著書に『皇后陛下美智子さま 心のかけ橋』、『祖父 大平正芳』がある
可児一男
1936年生まれ、埼玉県出身。川越生まれ川越育ち。早稲田大学商学部を卒業後、明治10年創業の可児時計本店(時計・宝飾)を継ぐ。「活性化による景観保全」の考えを基に、川越蔵の会初代会長から一番街商業協同組合理事長を務めた後、2017年まで20年に亘り川越町並み委員会委員長として活動した。現、相談役。著書に「川越一番街一分間ストーリー」がある。
中埜博
早稲田大学理工学部建築学科卒業後、カリフォルニア大学・バークレー校へ留学し、クリストファー・アレグザンダーに師事。アレグザンダーが主宰する環境構造センター在日代表として盈進学園プロジェクトに参画。パタンランゲージにもとづく建築設計やまちづくりへの取り組みを実践。パタンランゲージに関する著書、翻訳も多数。
薄井充裕
1953年生まれ、愛知県出身。クリエイティブタウン推進機構理事長(共同)。新むつ小川原(株)代表取締役社長。中央大学総合政策学部客員教授。都市開発・地域整備について、金融スキームや事業化手法から提言、『都市開発と証券化』、『PFIと事業化手法』などの編著がある。趣味は仏像探訪で、特に飛鳥白鳳期の古仏を好む。
田中健次
1958年生まれ。大阪府出身。
1982年三井住友信託銀行入行。
入行後は、「ファイナンスアレンジ業務」「ファンドマネジメントサービス業務」「不動産投資顧問業務」を中心に担当。
具体PJとしては、「高松市丸亀町商店街PJ」「セコム本社(神宮前)」「原宿表参道ヒルズPJ」等がある。
2017年4月、同行地域共創推進部 審議役に就任。
現在は、地方エリアに限らず、地域の活性化と課題解決に向けて取組んでいる。
小林重敬
1942年生まれ、東京都出身。横浜国立大学名誉教授、一般財団法人 森記念財団理事長。
東京大学工学部都市工学科卒業、同大学院工学系研究科博士課程修了。工学博士。
横浜国立大学大学院教授、日本女子大学講師を経て現職。NPO法人大丸有エリアマネジメント協会理事長、全国エリアマネジメントネットワーク会長を兼任