※本講座は2016年1月21日~3月24日まで開講しておりました「服飾の歴史と文化 –公家の装束から現代のファッションまで- (旧タイトル)」と同じ内容です。
講座内容
現代の日本に生きる私たちは、大部分が洋服を着て生活をしています。あたりまえに洋服を着ていますが、現代に至るまでには実にさまざまな形態、また材料や文様などの異なる衣服が着用されてきました。
服飾は、それが存在する時代の政治、産業、技術などの社会的な環境と密接な関係を持っています。そして、日本の地理や気候などの自然環境、また豊かな自然によって育まれた日本人独特の美意識、個人の考えや好みなどが反映されていることも見逃すわけにはいきません。
この講座では、服飾とそれが生み出される背景との関係に着目し、第1週は「古代から中世の公家装束」、第2週は「近世の小袖(きもの)」、第3週は「近代の宮廷服」、第4週は「戦後日本のファッション文化と世界」を取り上げます。それぞれの服飾の特徴とその背景となる要因との関係について学び、私たちの身近にある服飾が、歴史や文化の所産の一つであることを見直してみたいと思います。
第1週:古代から中世の公家装束
- 日本の環境と服飾文化
- 束帯-男性の正装-
- 直衣-公家の男性美-
- 唐衣裳(十二単)-女性の正装-
- 唐衣裳(十二単)-重なりの色彩美-
- 小袿-公家の女性美-
第2週:近世の小袖(きもの)
- 小袖のはじまり、公家女性の小袖
- 武家女性の小袖
- 町人女性の小袖-安土桃山時代-
- 町人女性の小袖-江戸時代前期-
- 町人女性の小袖-江戸時代後期-
- 町人男性の小袖
第3週:近代の宮廷服
- 宮廷服の着用者・着用の場合・種類
- 洋服(1)-洋服採用の経緯-
- 洋服(2)-男性の洋服-
- 洋服(3)-女性の洋服-
- 装束(1)-男性の装束-
- 装束(2)-女性の装束-
第4週:戦後日本のファッション文化と世界
- 戦後日本のファッション文化の展開
- 高度経済成長とファッション文化の転換
- 消費社会下のファッション文化
- 流動化するファッション文化
- 1980年代とメンズファッション
- 1990年代とメンズファッション
講師・スタッフ紹介
福田 博美
栃木県生まれ、茨城県育ち。文化女子大学家政学部服装学科日本服装史コース(現:文化学園大学服装学部服装社会学科服飾文化史コース)を卒業後、本学にて日本服飾史の教鞭を執り、2015年度より現職。遠藤武先生の指導の下、服飾の画証的研究を進め、主に浮世絵に見る江戸の服飾文化を研究。主な論文は「浮世絵に見る帯留と帯揚の形成に関する一考察」(文化女子大学紀要 服装学・造形学研究 第28集 1997年)、「鳥居清長の浮世絵に見る服飾描写の独自性―姿態美と染織表現―」(文化学園大学紀要 服装学・造形学研究 第46集 2015年)など。2012年より服飾文化学会理事。
植木 淑子
神奈川県生まれ。文化女子大学大学院(現:文化学園大学大学院)家政学研究科被服学専攻修士課程修了。佛教大学通信教育課程博物館学芸員資格取得課程修了。1979年より文化学園服飾博物館の学芸業務に携わり、2012年に文化学園大学に異動。明治時代から昭和戦前期にかけての宮廷服および洋装を研究。主な論文は「明治・大正・昭和戦前期の袿袴―法令を中心として―」(『日本服飾学会誌11号』1992)、「女子大礼服の着用について」(『日本服飾学会誌16号』1997)、「宮廷のファッション」(『歴史読本826号』2008.4.)、「昭憲皇太后と洋装」(『明治聖徳記念学会紀要復刊第50号』2013)など。
田中 里尚
1974年埼玉県生まれ。立教大学文学研究科比較文明学専攻にて、博士号(比較文明学)を取得。2007年度に本学助教、2011年度より准教授。日本近現代における女性雑誌(主に『主婦の友』研究)の変遷とその中で表現された服装美の価値観(「おしゃれ」)の社会史的研究、ファッションとファッション・メディアとの関係性の史的研究、戦後日本ファッションとポップカルチャーの関係性についての理論的研究等。他に文芸批評に関する共著として『<北>の想像力』(寿郎社 2014)、共監訳書として『循環するファッション』(文化出版局 2014)など。
北方 晴子
東京生まれ。1990年文化女子大学家政学部(現:文化学園大学服装学部)卒業。その後、誂え服専門の銀座英国屋勤務を経て、本学に勤務。1996年より専任講師。2004年放送大学大学院文化科学研究科文化情報科学専攻 修士課程修了。2007年より本学准教授。専門は西洋服飾史、服飾文化論。このほかメンズファッション、ヨーロッパの民族服飾、ヨーロッパの染織文化史、などを担当。最近の学術論文として、「現代メンズファッションにおける「かっこよさ」の概念」(ファッションビジネス学会論文誌、第18号、共著、2013)、研究発表として、「The social and economic impacts of ‘cool biz’and`super cool biz’fashion in japan」(IFFTI国際会議、2014)。
修了条件
なし
この講座では修了証の発行はありません