講座内容
私たちは、それぞれの立場で子育て、教育の当事者であり、経験者です。しかし、だからこそ、それぞれの経験則、考えにとらわれ、何が本当に正しいのか、わからなくなるのかもしれません。本講座では、そうした子育て、教育について、子どもの発達についての科学的視点を取り入れ、整理していきます。
子どもたちの将来は我々社会の未来です。子どもたちの問題は社会に直結し、実は社会の問題の多くは、子どもの発達の問題として考えることができます。
この件について、たくさんの科学的研究がなされています。この講座の第1週では、まず子どもの発達について、科学的視点で整理し、子育て、教育が大切にすべきことは何かについて考えます。第2週では、子どもの将来のために必要な『学び』をテーマとして、より良い『学び』とは何か、その『学び』を保障するために、大人は何をすべきかを考えます。さらに第3週では、子どもの問題の中でも昨今、話題になっている『いじめ』を取り上げ、なぜ『いじめ』がなくならないのか、『いじめ』を無くすために何をすべきなのかを考えていきます。
子育て、教育については、誰もが当事者、経験者であるがために、経験則が大切にされたり、情緒的に語られたりすることが多くありましたが、本講座ではそれらを大切にしつつ、科学的な見方を提供します。こうした科学的な見方は、子育て、教育をする上で、基礎となる考え方と言えるでしょう。
第1週:子どもの発達を科学する
- 発達を『科学的』に捉えるとは?
- 今の子どもの発達をデータから捉える
- 発達にかかわる問題の前後にあるもの
- 子育てのゴールとは?
- 子どもの発達にかかわること
- 発達にかかわる危険因子
- 発達障がい
- 子どもの発達を促す基本的な考え
- 『教える』ということ
- 子どもの特性に合わせる
第2週:子どもの学びを科学する
- 『学び』とは何か?
- 『学び』の3つの側面
- 学びへの意欲を高める
- ABC分析
- 環境設定
- 『学び』について改めて考える
- 学習障がい
- 国語の学習について(LD支援から考える)
- 算数の学習について(LD支援から考える)
- 子どもたちの学びを支える意義
第3週:子どもの問題を科学する(いじめをターゲットに)
- 問題行動はなぜ問題か?(復習を含む)
- いじめ問題の難しさ
- いじめの定義
- いじめの定義~4つのキーワード~
- いじめの加害者
- いじめの被害者
- いじめの傍観者
- いじめを巡る大人の問題
- 子どもの発達を科学する~講座全体のまとめ~
講師・スタッフ紹介
和久田 学(わくた まなぶ)
公益社団法人 子どもの発達科学研究所 主席研究員
小児発達学博士
大阪大学大学院 連合小児発達学研究科 特任講師
特別支援学校教諭として20年以上現場で勤め、その後科学的根拠のある支援方法や、発達障がい、問題行動に関する研究をするために連合大学院で学び、小児発達学の博士学位を取得。
専門領域は子どもの問題行動(いじめや不登校・暴力行為)の予防・介入支援に関するプログラム・支援者トレーニングなど。
また、教育現場での経験と科学的根拠を融合させた教材開発、各種プログラム開発なども行っている。
大須賀 優子(おおすか ゆうこ)
公益社団法人 子どもの発達科学研究所 主任研究員
浜松医科大学 子どものこころの発達研究センター 特任研究員
小学校および特別支援学校で教職を勤め、その間、特別支援学級担任を計15回受け持つ。
20年以上の教育現場での経験はもちろん、母親としての経験を生かした、あたたかな教え方には定評があり、発達障がい、特別支援、子育てについての知識は幅広い。
今までの現場経験を生かし更なる研鑽を積むため、現在は大阪大学大学院連合小児発達学研究科博士課程で「いじめ予防と学校風土」の研究を行っている。