講座内容
このコースでは、新学習指導要領の大事なポイント「主体的・対話的で深い学び」を学校だけでなく、家庭でも社会でも実現し、誰もが生涯に渡って能動的に学び続けること、多様性を活かし共創する社会へのきっかけとなることを意図して開講されます。
学習指導要領は、全国のどの地域で教育を受けても、一定の水準の教育を受けられるようにするため、文部科学省では、学校教育法等に基づき、各学校で教育課程(カリキュラム)を編成する際の基準を定めたもので、小学校、中学校、高等学校等ごとに、目標や大まかな教育内容を定めています。この学校教育を基礎にして、私たちは社会に出てからも学び続け生きていきます。
今の時代は、変動性(Volatility)が高く、不確実(Uncertainty)で、複雑(Complexity)で曖昧(Ambiguity)なVUCA時代。
今の大人は「何ができるようになるか」「何を学ぶか」に重点が置かれ、沢山の知識をもとに正解を早く正確に求めることが良いとされた教育を受けてきましたが、それは人工知能やロボットの得意分野です。
これからの時代を生きる大人にも子どもにも必要な力は、変化にも柔軟に対応し、複雑な問題の全体像を捉え、自ら課題設定し、他者と協力しながら共に創り出すこと。
新学習指導要領の通り「何ができるようになるか」「何を学ぶか」だけでなく「どのように学ぶか」の3つの軸が大事になります。
子どもたちは学校で学ぶ時間以上に、家庭にいる時間や社会に出て人と関わる時間の方が多くなります。大人も会社にいる時間だけでなく、家庭やプライベートの時間からも多くのことを学んでいます。一人一人の「どのように学ぶか」は教育や仕事はもちろん、日々の生活に大きな関係があるということです。
この講座では、「主体的・対話的で深い学び」を日々の生活の中で意識し、実践できることを目指し、ケース例を交えて作られています。
この時代に生きる一人一人が質の高い学びを実現し、生涯にわたって能動的に学び、一人一人にとって素敵な人生を送るため「主体的・対話的で深い学びを実現した授業」を教育者が実現していくことはもちろん、子育て中の保護者、人材育成に関わる方々も含めた多くの人が「主体的・対話的で深い学び」を子ども達と一緒に体験し、新学習指導要領を社会全体で実現していきたいと考えています。
はじめに:大人も子どもも「主体的で対話的で深い学び」が実現できる社会に向けて
- 労働市場の変化と教育
- 人生100年時代の人生戦略
- なぜ「主体的で対話的で深い学び」が必要なのか?
- 学習指導要領改訂内容について
- 高大接続改革との関係
第1週:「主体的」な学びとは?
- ビジョンを持つ
- 視野を広くして、多様な選択肢を知る
- 感情の存在価値に気づく
- 誰のための学びか?
- 「問い」を持つ
- 真の自己理解と多様性
第2週:「対話的」な学びを実現するために
第3週:深い学びをするために
- なぜ問題は繰り返される?
- 物事の全体像を理解する
- 人に “そうさせる” 仕組みを考える
第4週:「主体的対話的で深い学び(アクティブラーニング)」を実践する
- 学校が、先生たちがやっていくこと
- 家庭でできるアクティブラーニング
講師・スタッフ紹介
赤井 友美
一般社団法人子供教育創造機構 理事
東京都生まれ。東京理科大学卒業後、2001年にリクルート入社。IT部門、広報、人事などを経験。
2006年に中学生向けキャリア教育プログラム「Townwork Trywork」を新規事業として起案、立ち上げを経験し、教育の世界に足を踏み入れる。その後、教育系NPO法人設立準備に参画し、初代理事に就任。2度の出産をきっかけに人材育成にますます興味が移り、リクルートを退職。2013年に仲間と共に東京都中央区に民間学童施設「キンダリーインターナショナル」を設立。
現在は3校舎を運営しながら、総務省IoTサービス創出支援事業、横瀬町の横らぼなど、地域と関わり「一人ひとりが内発的動機から主体的に生きる社会」を目指し、持続可能な地域社会を創り出すための人材育成に力を入れている。
辰巳 哲子
リクルートワークス研究所
1992年株式会社リクルート入社。組織人事のコンサルティング(企業理念の浸透、組織活性化)に携わった後、社会人向けのキャリア支援サイトの開発・運営を行う。その後、高校生・高卒後未就業者のキャリアカウンセリング事業に携わり、2003年4月より現職。全国各地でキャリア教育に関する教員向け研修会や生徒の変容に関する共同研究(中学校・高等学校)を実施。中央教育審議会 キャリア教育・職業教育作業部会委員(2009-2012)。文部科学省・国立教育政策研究所『キャリア発達にかかわる諸能力の育成に関する調査研究報告書』(2012-2013)など。筑波大学人間総合科学研究科 修士。これまでに小学生向けキャリア教育プログラム、中学生向けキャリア教育プログラムを新規で開発し全国展開中。「地域づくりのコミュニケーション」でグッドデザイン賞受賞。現在は、学習とテクノロジー、社会人学習の分野に力を入れている。
寺西 隆行
一般社団法人 ICT CONNECT 21 事務局次長
1997年、株式会社増進会出版社(現:Z会)に入社。数学の教材編集に携わりつつ、メールマガジンを企画・配信。その後、Web担当として、携帯サイトやSNSを次々と開発。第1・2回日経ネットマーケティング イノベーション・アワード 優秀賞を連続受賞。2011年理科課課長、2015年2月「Z会東大個別指導教室プレアデス」の立ち上げ等を経て、2016年7月 ICT CONNECT 21に参画。2020年から実施される新学習指導要領をはじめとする教育改革に対する深い知見を活かし、ICT CONNECT 21では広報業務を担当、教育委員会や現場の先生方、保護者の方への情報提供を続けている。
由佐 美加子
合同会社CCC・合同会社ファミリーコンパス パートナー
幼少期からヨーロッパ、アジア、米国で育ち、米国大学卒業後、国際基督教大学(ICU)修士課程を経て ㈱野村総合研究所入社。㈱リクルートに転職し、事業企画職を経て人事部に異動。2005年に男児を出産、グローバル企業の人事部マネジャーとして6年間企業でワーキングマザー生活を送る。
2011年に組織開発ファシリテーターとして独立、その3年後に合同会社CCCを設立し、いい悪い、正しい間違っているという二元的な世界観に立脚した生き方ではなく、すべてがただあるというじぶんの内なる世界の受容を源とした「全体性」から生きるための智慧や手法を統合して、個人や組織の覚醒と進化を様々な形で支援している。
既存社会の中で葛藤する大人たちの様々なニーズに関わる中で、外側のモノサシを基準に競争と適合を目的とする子育てや教育の転換が不可欠だと痛切に感じるようになり、一人ひとりが自分の人生の目的を軸として創造的に生きる新しいパラダイムの子育てとその実践の仕方を共有する合同会社ファミリーコンパスを立ち上げ、様々な活動を展開している。オットー・シャーマー著「U理論」訳者
後藤 拓也
フリーランス講師、ファシリテーター。
大学卒業後、広告会社で企業・NGO等のコミュニケーション活動に従事。退職後、サステナビリティと「システム思考」への関心が重なり、英国シューマッハ・カレッジ大学院に留学。「ホリスティック・サイエンス」修士コースを修了。帰国後、有限会社チェンジ・エージェントにて、営業、講師、ファシリテーターとして、「システム思考」や「学習する組織」の理論や方法論などをベースに人や組織の変容に携わる。2015年5月より独立し、現在、フリーランスの講師・ファシリテーターとして活動。「人の最高の可能性を探求する」をモットーに、企業、自治体、NPO、学校の先生などに向けて研修やワークショップの企画・開催を行う。
平井 聡一郎
株式会社情報通信総合研究所 ICT創造研究部特別研究員
1960年茨城県生まれ。茨城大学教育学部小学校課程技術科卒業後、33年間茨城県内で教育に携わる。県内小中学校で22年間教諭、教頭、校長を務めるとともに、11年間にわたり町、市、県教育委員会で指導主事として教育行政に携わる。教員時代は、特別活動、技術・家庭科教育指導法を中心に実践研究に取り組む。特に校長として勤務した古河第五小学校では、iPadなどのICT機器を活用した授業改善に取り組み、その後、古河市教育委員会指導課指導課長として、市町村としては全国初となるセルラーモデルiPadの大量導入とクラウド活用により、ICT機器整備とその活用による授業改善のロールモデルとなった。現在、株式会社情報通信総合研究所ICT創造研究部特別研究員として活動するとともに、総務省、文部科学省のICTに関する各種委員を歴任、また、市町村、企業等のアドバイザーとして、ICT活用の推進に取り組んでいる。なかでも、小学校におけるプログラミングでは、多くの実践をもとに講演、ワークショップで全国で指導にあたっている。