この講座は『受講登録する(無料)』ボタンを押すと受講開始となる『開始日可変型講座』です。
『開始日可変型講座』とは、受講者個々の受講開始日に応じて進行する講座です。
ご自身のスケジュールは、以下の講座スケジュール(PDF)を参考にご確認ください。
(受講前に必ずここをクリックしてお読みください)
講座内容
京都大学は国際的な臨床研究の拠点であり、New England Journal of Medicine、Lancet、BMJに次々と論文が掲載されている。そのためには研究者のトレーニングが重要であり、臨床統計家育成コースは大学院生向けに多数の正規科目を提供している。
この講座は、臨床統計家育成コースが、過去の教育経験をベースに、臨床医学のための統計学を習得できるように構成したものである。JMOOCには全3講座が提供されており、それぞれが具体的な目標を設定している点が特徴である。
(1) 臨床医学論文のMethodsを読み解く能力を身に付ける
(2) サンプルサイズ計算の技術を身に付ける
(3) 因果推論の手法とその理論を習得する
この講座「因果推論」では、医学のための因果推論(causal inference)の手法とその理論について解説する。なぜ因果推論を学ばなければならないのだろうか。その理由のひとつは、医学、経済学、政治学、教育学といった分野で、実証研究の価値が高まっていることである。医療技術、政策、教育手法といった科学の成果を社会還元する過程では、それらがアウトカムに与える効果を、統計学的に評価することが求められる。因果という概念は、学問体系において哲学、法学、医学、統計学などで扱われているが、ここでいう因果推論は、統計学(実験計画法、回帰分析、疫学の数理)が発展したもののことである。伝統的な統計学の教科書には書かれていない因果推論の手法が次々に開発され、実際の実証研究で用いられている。この講座では、因果推論の理論を系統的にまとめた「講義ノート」が用意されており、いくつかの重要な論点について対話形式で解説した動画を視聴し、学習してもらう。
この講座は3部構成である。第1部では、医学研究の具体例を紹介した後に、統計学の基本原理である最尤法について述べる。第2部と第3部は、原因と結果の関係を明らかにしようとするときに用いられる2つのフレームワーク(一般化線型モデルとRubin因果モデル)について解説する。
第1週:最尤法
- 因果推論の事例
- 最尤推定量と信頼区間の計算
- 最尤推定量の性質
- 小標本のための手法
第2週:一般化線型モデル
- 一般化線型モデル
- 正規線型モデル/ベースライン値のあるランダム化臨床試験の解析
- Poisson回帰モデル/効果の修飾
- 2値データの回帰モデル/Simpsonのパラドックスとその解釈
第3週:Rubin因果モデル
- 潜在結果変数, 割付けメカニズム, 統計的推測
- プロペンシティスコアの性質
- プロペンシティスコアマッチング
- 周辺構造モデルとIPW推定
- 周辺構造モデルによる時間依存性治療効果の推定
- 操作変数法
第4週:クロージング:講義を振り返って
- ランダム化臨床試験と観察研究
- 代表的な因果推論の手法