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静物画のスペクタクル ――レンブラントとフェルメールを中心に「鑑賞者・物質性・脱領域」を考える


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  • 講座番号:ga193
  • 受講開始日:2024年10月9日 15時
  • 想定される勉強時間/週:2,3時間程度

講座内容

この講義では、レンブラントとフェルメールに焦点を絞り、「静物画」をキーワードとして考えていきます。
普通には「静物画」とは、花や果物などを描いた絵というように理解されていますが、ここでいう「静物画」は、もっと広い意味をもっています。主題としてばかりでなく、人であれ事物であれ装飾的に描かれたものを「静物画」として捉えていきます。そして、この立ち位置からレンブラントとフェルメールの世界を探っていきます。
いわば、17世紀の古典主義によって確立された「歴史画」を頂点とし「静物画」を最下位に置くジャンルという見方を一端括弧に入れ、二人の絵に描かれた人々や事物が宗教的あるいは寓意的なシンボルとしてではなく、対象そのものに魅了され描かれたものであることを浮かびあがらせます。
言い換えるなら、モノを観念的にではなく、感性的に捉える態度こそが地上を神の世界とみなす宗教体験ともいうことができます。同時にそれは、新たな現実感覚の誕生でもありました。


Week1:些細なものに神を感じる――「静物画」の誕生

第1週では、モノに焦点をあてた「静物画」の誕生が、世俗的な傾向が強くなることによるというだけではなく、聖なるものと俗なるものの相反するベクトルの働く場において生まれたことを見ていきます。そこにはどのようなドラマがあったのでしょうか。

  • 日常性のパラドックス
  • 「絵画の誕生」と「静物画」
  • モノの描写がジャンルを横断
  • ファン・エイク兄弟の《ヘントの祭壇画》の新しさ
  • 「静物画」の誕生
  • 《ヤドカリと魔女の習作》
  • 《ヤドカリと魔女の習作》から見えてくるもの
  • デ・ヘイン2世《ヴァニタスをあらわす静物画》について
  • マリーの画家の「聖と俗」、反射像としての自画像
  • 逆説の絵画―感性と観念、些細なものと重大なものの転倒

Week2:美的テクノロジー ――「画家・版画家」レンブラントの芸術的な挑戦

第2週では、主としてレンブラントの銅版画の中にある、一枚の版画にいくつもの形象がまるで習作でもあるかのように描きこまれた作品に静物画にも通じる新時代の芸術生産の在り方を見ていきます。版画を絵画に匹敵する魅力的な商品とする新領域を切り拓き、画家・版画家という新しい顔を見せるレンブラントとは何者なのかを探っていきます。

  • イントロダクション
  • 「頭部の集合体」に向けられたレンブラントのまなざし
  • あらゆる対象のヒエラルキーの消滅―自然描写に重きを置くテクノロジーの性格
  • 「静物画的」な版画の購入者トローニー、ザンドラルト
  • レンブラントと版画コレクター ―《三本の十字架》《百フルデン版画》
  • 芸術作品の未完成
  • ピュグマリオン、絵画の擬人像
  • レンブラントの版画に見られる「白抜き」の機能
  • ハウブラーケンが語るレンブラントの戦略
  • 画家・版画家への道

Week3:「黒」の美学――レンブラントと〈アジア〉

第3週ではレンブラントの版画のなかにモノクロの織りなす繊細な世界を眺めながら、レンブラントと〈アジア〉について考えてみたいと思います。レンブラントの黒の背景には、版画だからモノクロということではなく、古代ギリシア以来ヨーロッパに伏流する「メランコリー」の思想が反映していることを明らかにします。

  • イントロダクション
  • レンブラントの変幻する自画像
  • イメージからみるオスマン帝国
  • オスマン帝国のイメージの変化 ファン・アールスト(1502-50年)
  • レンブラントはムガル朝のミニアチュールからなにを学んだのか?
  • 《放蕩息子の帰還》に見られる斬新さとは何か?
  • レンブラントが和紙を用いた理由は何か?
  • 《ヤン・シックスの肖像画》から見えてくるものは何か?
  • 黒の効果の深まり―劇的な効果から内面性の表現へ
  • 黒と「メランコリー」の関係とは?

Week4:陶磁器の白い輝き――フェルメールからモンドリアンへ

第4週では、17世紀というグローバル化の時代にフェルメールが表現した新しい感性を、その作品にあらわれた「白」に着目して見つめてみたいと思います。白を通して現れるフェルメール芸術は、ヨーロッパとアジアとの出会いの産物であり、新たな芸術の創造を告げる夜明けでもあったことを見ていきます。

  • イントロダクション
  • 「感性の変化」がオランダにもたらされた?
  • 文化の「共振作用」を起こさせる二つの要素とは?
  • イコノクラスム(偶像破壊)と白い壁
  • フェルメール絵画の空間の特徴は? 「見通しの空間」(an Entrance for the Eye)
  • 「光の粒」 ディルク・ハルスの二枚の絵 そして《眠る女》
  • 愛のテーマと遠い世界(アジア)
  • 中国磁器への憧れ
  • 「静物画」が創りだす新たな美意識
  • まとめ

講師・スタッフ紹介

尾崎 彰宏(おざき あきひろ)

尾崎 彰宏(おざき あきひろ)

東北大学 高度教養教育・学生支援機構 教養教育院 総長特命教授
1983年東北大学文学研究科博士課程後期退学(文学修士)
東北大学文学部助手、弘前大学人文学部教授、東北大学文学研究科教授を経て2021年7月から現職。2016年、阿部次郎文化賞受賞。 専門は西洋美術史。

主な著書

前提条件

特になし

課題内容

理解度確認クイズ
最終課題

修了条件

得点率60%以上

修了条件を満たした方には、東北大学オリジナルの修了証とオープンバッジ(※)が発行されます。
閉講日以降、登録メールアドレス宛にオープンバッジの案内が届きますので、記載された手順に沿って設定を行ってください。
詳しくは、オープンバッジ発行のお知らせをご確認ください。
受講解除者、メール配信停止者にはオープンバッジの案内ができませんのでご注意ください。

※オープンバッジとは
取得した知識やスキルを証明する国際技術標準規格のデジタル証明書。
ブロックチェーン技術を取り入れており、紙媒体の修了証と異なり改ざんや偽造が不可能で、デジタル履歴書やSNSでの公開など、様々な場面での活用が期待されます。

学習期間

4週間

参考図書・文献


講義動画収録時期:2023年




東北大学MOOCのシリーズについて

東北大学では、JMOOCにて下記の2シリーズを展開しております。
今後も新規開講講座が追加されます。
また、再開講も随時行っていく予定ですので、ぜひ他講座にもご参加ください。

東北大学サイエンスシリーズ

・第1弾 解明:オーロラの謎
・第2弾 東日本大震災の教訓を活かした実践的防災学へのアプローチ ー災害科学の役割
・第3弾 銀河考古学入門~銀河の形成と進化を辿る~
・第4弾 進化発生学入門ー恐竜が鳥に進化した仕組みー
・第5弾 放射線安全社会入門~リスクの知見を暮らしに~
・第6弾 痛みと麻酔科学
・第7弾 人間脳科学入門
・第8弾 暗号学の現在―現代暗号入門

東北大学で学ぶ高度教養シリーズ

・第1弾 memento mori -死を想え-
・第2弾 男と女の文化史
・第3弾 家族と民法
・第4弾 社会の中のAI~人工知能の技術と人間社会の未来展望~
・第5弾 化粧で学ぶ心理学
・第6弾 自己理解の心理学
・第7弾 静物画のスペクタクル ――レンブラントとフェルメールを中心に
 「鑑賞者・物質性・脱領域」を考える

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