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海産毒の科学


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  • 講座番号:ga194
  • 受講開始日:2025年1月22日 15時
  • 想定される勉強時間/週:2,3時間程度

講座内容

生物がもつ毒には、微生物、植物、キノコやカビなどの菌類由来など、様々なものがあります。物質としてもタンパク質から低分子化合物まで多様であり、作用も様々です。しかし、それぞれの毒には由来する生物によって共通した要素も見受けられます。本講座では、その中から海産毒について取り上げます。海産毒は、魚介類など大型の生物が持ち、食中毒を引き起こすことが多いですが、その大型生物が毒を生産することはほとんどありません。多くの場合、毒の生産者はプランクトンや微細藻類で、それを餌として取り込んで、食物連鎖により大型生物が毒を持つようになります。本講座では、魚による食中毒の原因となるシガテラ毒やフグ毒、また、貝毒として、下痢性貝毒、麻痺性貝毒、記憶喪失性貝毒、神経性貝毒、さらにイモリやカエルの毒などの、化学と生物学、毒と環境との関わり、毒の評価方法や分析方法などについて学びます。海産毒の多様性やこれまでの研究の歴史、現在の研究の方向性などについて理解していただければと思います。


Week1:ポリエーテル等海産毒の科学

第1週では、魚による中毒のシガテラとその原因毒のシガトキシン、マイトトキシン、その他のポリエーテル毒、海藻付着性の藍藻の毒、および神経性貝毒や下痢性貝毒とオカダ酸について説明します。

  • はじめに
  • シガテラとシガトキシン(1)
  • シガテラとシガトキシン(2)
  • マイトトキシンとブレベトキシン
  • 他のポリエーテル、ポリオール化合物
  • 海藻付着性藍藻が生産する毒(ポリカバノシド)
  • 海綿が蓄えている毒とオカダ酸
  • 下痢性貝毒とオカダ酸(1)
  • 下痢性貝毒とオカダ酸(2)

Week2:水溶性海産毒の科学

第2週では、フグ毒として知られるテトロドトキシンの多様な側面について説明します。また、麻痺性貝毒の生合成経路解明へ向けた研究や、記憶喪失性貝毒のドウモイ酸や類似化合物のカイニン酸について説明します。

  • 今週の紹介
  • テトロドトキシン:含有する生物と分析法
  • テトロドトキシンの類縁体(フグとカエル)
  • テトロドトキシンの生合成経路の推定(海洋)
  • フグの自己の毒に対する防御機構
  • 二枚貝中の麻痺性貝毒とテトロドトキシン
  • 麻痺性貝毒生合成経路解明へ(1)
  • 麻痺性貝毒生合成経路解明へ(2)
  • 記憶喪失性貝毒とドウモイ酸、カイニン酸

Week3:海産毒の作用とイモリ中の海産毒

第3週では、前半で、有毒性を調べる各種試験方法の解説と、フグ毒や麻痺性貝毒が電位依存性ナトリウムチャネルに及ぼす阻害作用について、電気生理学実験法を用いて調べた実例を紹介します。後半では、陸棲両生類であるイモリに含まれるテトロドトキシンを中心として、化合物の同定法、毒の耐性機構、毒の起源および生合成について説明します。

  • 今週の紹介
  • 培養細胞を使った毒性評価
  • 神経毒と電位依存性ナトリウムチャネル
  • 電気生理学的手法による電位依存性ナトリウムチャネルの観察
  • テトロドトキシン・サキシトキシンによる電位依存性ナトリウムチャネルの阻害
  • フグと同じ毒を持つイモリ
  • 毒耐性:有毒イモリを捕食するヘビ
  • イモリにおける毒の起源は?
  • テトロドトキシンの生合成経路の推定(陸上)

Week4:海産毒を生産するプランクトン

第4週では、前半で、海産毒を生産するプランクトンの漁業被害の実態や、その生態、被害軽減のための対策について、後半で、麻痺性貝毒を生産するプランクトンの麻痺性貝毒の生合成と代謝、関わる遺伝子、酵素に関する研究の歴史的な経緯から最新の話題までを紹介します。

  • 今週の紹介
  • 貝毒原因プランクトンによる漁業被害
  • 貝毒原因プランクトンの生態
  • 貝毒原因プランクトンへの対策
  • 麻痺性貝毒:歴史
  • プランクトンの麻痺性貝毒:生合成と代謝
  • プランクトンの麻痺性貝毒:生合成遺伝子
  • プランクトンの麻痺性貝毒:生合成酵素
  • おわりに

講師・スタッフ紹介

山下 まり

山下 まり(やました まり)

東北大学教授(農学研究科農芸化学専攻)
1961年4月生まれ。宮城県出身。
東北大学農学部卒業後、同学部技官、助教授を経て2004年から現職。
学位:農学博士(東北大学)
専門は天然物化学で、フグ毒、麻痺性貝毒、記憶喪失性貝毒、藍藻毒関連物質の単離、構造決定、合成、起源追求、生合成研究などを行っている。

主な著書

此木 敬一

此木 敬一(このき けいいち)

東北大学准教授(農学研究科農芸化学専攻)
1968年5月生まれ。東京都出身。
早稲田大学理工学部卒業。東京大学大学院理学系研究科修士課程、同博士課程を経て、同助手。ワシントン大学薬理学科訪問研究者、同アクティングインストラクター、大阪大学大学院理学研究科特任研究員。2008年より現職。
学位:博士(理学)東京大学
専門は天然物化学。主に海洋生物が生産または貯蔵する有毒物質の作用機序を解明する研究を行っている。

西谷 豪

西谷 豪(にしたに ごう)

東北大学准教授(農学研究科生物生産科学専攻)
1975年1月生まれ。愛知県出身。
広島大学生物生産学部卒業後、京都大学大学院農学研究科に進学。同大学にて修士・博士課程を修了後、瀬戸内海区水産研究所(広島)、東北大学大学院農学研究科助教を経て現職。
専門は水圏における有用または有害なプランクトンの生態について研究を進めている。

主な著書

工藤 雄大

工藤 雄大 (くどう ゆうた)

東北大学准教授(学際科学フロンティア研究所 兼 農学研究科農芸化学専攻)
1988年12月生まれ。秋田県出身。
東北大学農学部卒業後、同大学院博士課程を修了。日本学術振興会海外特別研究員(派遣先:カリフォルニア大学サンディエゴ校スクリプス海洋研究所)、東北大学大学院農学研究科特任助教、東北大学学際科学フロンティア研究所助教(農学研究科兼任)を経て、現職。
学位:博士(農学)東北大学
専門は天然物化学。イモリのテトロドトキシン、微生物の二次代謝産物を主な対象として、新規化合物の探索、化学構造の決定、生合成の解析などに取り組んでいる。

主な著書

長 由扶子

長 由扶子(ちょう ゆうこ)

東北大学助教(農学研究科農芸化学専攻)
1963年3月生まれ。長崎県出身。
九州大学薬学部卒業後、同大学院薬学研究科、山口大学付属病院薬剤部非常勤薬剤師、東北大学農学部教務職員などを経て、現職。
学位:博士(薬学)九州大学
専門は天然物化学で渦鞭毛藻の麻痺性貝毒生合成研究に取り組んでいる。

主な著書

前提条件

特になし

課題内容

理解度確認クイズ
最終課題

修了条件

得点率60%以上

修了条件を満たした方には、東北大学オリジナルの修了証とオープンバッジ(※)が発行されます。
閉講日以降、登録メールアドレス宛にオープンバッジの案内が届きますので、記載された手順に沿って設定を行ってください。
詳しくは、オープンバッジ発行のお知らせをご確認ください。
受講解除者、メール配信停止者にはオープンバッジの案内ができませんのでご注意ください。

※オープンバッジとは
取得した知識やスキルを証明する国際技術標準規格のデジタル証明書。
ブロックチェーン技術を取り入れており、紙媒体の修了証と異なり改ざんや偽造が不可能で、デジタル履歴書やSNSでの公開など、様々な場面での活用が期待されます。

学習期間

4週間

参考図書・文献



講義動画収録時期:2024年




東北大学MOOCのシリーズについて

東北大学では、JMOOCにて下記の2シリーズを展開しております。
今後も新規開講講座が追加されます。
また、再開講も随時行っていく予定ですので、ぜひ他講座にもご参加ください。

東北大学サイエンスシリーズ

・第1弾 解明:オーロラの謎
・第2弾 東日本大震災の教訓を活かした実践的防災学へのアプローチ ー災害科学の役割
・第3弾 銀河考古学入門~銀河の形成と進化を辿る~
・第4弾 進化発生学入門-恐竜が鳥に進化した仕組み-
・第5弾 放射線安全社会入門~リスクの知見を暮らしに~
・第6弾 痛みと麻酔科学
・第7弾 人間脳科学入門
・第8弾 暗号学の現在―現代暗号入門
・第9弾 海産毒の科学

東北大学で学ぶ高度教養シリーズ

・第1弾 memento mori -死を想え-
・第2弾 男と女の文化史
・第3弾 家族と民法
・第4弾 社会の中のAI~人工知能の技術と人間社会の未来展望~
・第5弾 化粧で学ぶ心理学
・第6弾 自己理解の心理学
・第7弾 静物画のスペクタクル ――レンブラントとフェルメールを中心に
「鑑賞者・物質性・脱領域」を考える

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  • 講座番号:ga194
  • 受講開始日:2025年1月22日 15時
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