講座内容
地震大国ともいわれる我が国日本。全世界で発生する地震の約1/10が日本列島とその近海で観測されています。実際、古来より大地震は繰り返し列島を襲い、歴史を揺るがしてきました。7世紀以降、南海トラフでは100〜200年ごとに巨大地震と津波が発生し、内陸でも天正地震や慶長伏見地震、明治の濃尾地震など直下型の大地震が各地で相次ぎました。さらに、関東大震災、阪神・淡路大震災、東日本大震災、能登半島地震など、近代以降も未曾有の被害をもたらした地震が続いています。自然現象である以上、今後も大地震は必ず発生すると考えざるを得ません。
本講座では、地震とその発生源である断層の基礎を分かりやすく解説し、日本列島で地震が多い理由、発生する地震の種類や規模、頻度について科学的な視点から整理します。特に講師の専門である活断層や内陸地震、地震の連鎖性に注目し、東北地方太平洋沖地震、熊本地震、能登半島地震などを具体的に紹介します。最終的には、気象庁などの公的機関が発表する地震速報や記者会見、地震予測情報やハザードマップを正しく理解し、実際の防災や備えに役立てることを目指します。
Week1:地震と断層の基礎を学ぶ
第1週では、最低限知っておくべき地震科学の基礎を話します。地震の防災・減災対策を考えるうえで、地震発生の地学現象を理解しておくことは大切です。なぜ、日本列島で地震が多発するのか、岩盤のズレ(断層運動)がどのように地震の揺れにつながるのか、といった基礎的な解説だけではなく、1995年阪神・淡路大震災、2011年東日本大震災が、防災だけでなく地震科学の進展における分岐点であったのかについても説明します。
- イントロダクション
- ハザードとリスク、地学現象を理解する重要性
- プレートテクトニクスと日本列島
- 地殻変動で形作られた日本列島
- 震度とマグニチュード、地震と断層(1)
- 震度とマグニチュード、地震と断層(2)
- 地震を模擬する、断層と地震
- 1995年兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)
- 2011年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)
Week2:活断層による内陸大地震
第2週では、2016年熊本地震、2024年能登半島地震など、我々が暮らす陸域直下の浅い場所で発生する地震に注目して解説します。そのような地震の源となる活断層とは何か。どのようにして活断層を見出し、将来の直下型地震の大きさや発生確率を算定するのか。その調査や評価プロセスについて話します。また、熊本地震、能登半島地震、世界の活断層型地震について紹介します。
- 地表に現れた断層
- 活断層とは何か(1)
- 活断層とは何か(2)
- 内陸大地震の予測
- 2016年熊本地震
- 2024年能登半島地震
- 断層変位(ずれ)による被害と活断層法
- 伏在活断層
- 世界の活断層と最近の大地震
Week3:連鎖する地震活動
第3週では、本震とその後の余震、群発地震、続発する大地震など、時空間的にクラスターとなって発生する地震活動のメカニズムを解説します。特に、地震の集団としての統計則、本震や火山活動による周辺地域への応力(歪み)の伝播、地震のトリガリング作用などを、熊本地震や東北地方太平洋沖地震などを例に紹介します。
- 地震の大きさと発生頻度
- 本震−余震
- 群発地震
- 歪みの伝播と大地震の連鎖
- 地震活動の連鎖の例(1)
- 地震活動の連鎖の例(2)
- 地震活動の活動期と静穏期
- 東北地方太平洋沖地震とその後
- 地震と火山
Week4:近い将来に起こる大地震とハザードマップ
第4週では、南海トラフ巨大地震、首都直下地震、浅部地殻内地震(活断層型地震)など、今後日本を襲うと考えられている大地震について紹介します。また、今後10年〜30年程度の長期間をみこした地震ハザードマップの作成プロセス、見方、注意点を解説します。大地震への備えへのヒントを提供します。
- 南海トラフ巨大地震(1)
- 南海トラフ巨大地震(2)
- 首都直下地震
- 内陸活断層型地震
- その他の大地震
- 地震ハザードマップ・予測情報の捉え方(1)
- 地震ハザードマップ・予測情報の捉え方(2)
- 地震ハザードマップ・予測情報の捉え方(3)
- 大地震への備え、地震予知と科学の限界