講座内容
ファイナンスの学習分野の中で、サイエンス的アプローチをとるテーマを中心に提供する。
- 全15回シリーズのうち、前半の、第1~8回では、ファイナンスの学習の中で登場する道具、概念や定理、計算アルゴリズム等の中からテーマを選択している。
- 後半の、第9~14回では、現実の金融市場における市場参加者による競争売買戦略を意識した有価証券の価格形成理論を中心に取り上げる。
- 最後の第15回では金融工学に基づく計算に必要な計算ツールについて触れる。
前半は豊富な画像を使うことにより、動画ならではの分かり易さを戦略的に追求し過ぎたため、後半やや保守的な内容にとどめた。
数理的理論面、社会科学としての実学的知識面、近年のデータサイエンスやIT環境の進展を踏まえた、プログラミングに関する話題等をバランスよく配備。
第1回:ファイナンス現場のOR
ファイナンス実務の現場にあらわれる諸問題に対してOR的アプローチを用いる問題の実例を解説する
第2回:線型計画法
ファイナンスにあらわれる線型計画問題の例を示し、単体法を用いて最適解を求めるアルゴリズムを図解とアニメや動画を用いて説明する
第3回:双対理論
株式上場投信の価格とその構成銘柄株価の関係を説明し、その関係を用いて双対問題とは何かを説明する
第4回:最小分散ポートフォリオ
ポートフォリオ最適化問題を、等式制約条件付き凸2次最適化問題としてモデル化し、Lagrange 乗数法を用いて解析最適解を導く
第5回:現実的なフロンティア曲線
前週の計画問題に、さらに空売り制約条件を制約条件として追加した最適化問題を、PythonのCVXPY packageを用いて解き、数値解を求める
第6回:相関係数行列と正定値行列
実対象行列で各要素の水準だけみた見掛け上の相関係数行列が実際の相関係数行列にならない場合を取上げ、相関係数行列となるための条件を学習する
第7回:非線型計画問
微分可能な非線型計画問題の基本的な考え方と凸計画問題に触れる
第8回:効用関数
リスク回避的投資家の基礎的効用関数が上に凸になることを学習する
第9回:裁定取引と無裁定条件
市場の証券取引の仕組みに触れ、裁定機会、裁定取引、無裁定価格理論について学ぶ
第10回:現物、先物、裁定取引
現物価格と先物価格の関係を無裁定価格理論から学ぶ
第11回:オプションput/call parity
行使価格の等しい、Put, call オプション、先物価格の関係を学ぶ
第12回:株価のモデル化Brownian motion
株価をモデル化する際に用いるBrownian motion の基本的性質について学ぶ
第13回:リスク中立価格評価法
実務で用いられる派生証券価格付け手法であるリスク中立価格評価法について学ぶ
第14回:Black-Scholes PDE を用いたヘッジ比率計算
ヘッジ比率計算に必要なデルタ式を導く
第15回:金融工学の分析環境
現場で金融工学的計算を行うために必要なプログラミング環境、有用なpython package に触れる
※本講座では第1回~第8回を学習します。