舛谷 鋭
早稲田大学を経て、97年から立教大学で教鞭を取る。現在、立教大学観光学部交流文化学科教授。著書・共著に『東南アジア文学への招待:マレーシア文学』、『日本占領下の英領マラヤ・シンガポール』等。
専門は観光学及び華僑華人研究。
この講座には「通常コース(無料)」「反転学習コース(有料)」の2種類のコースがあります。*反転学習コース(有料)では、対面学習を11/23(日)東京で開催します。
本講では、広義の「観光」の場における、主に東南アジアの物語や語りを、移動、交流をキーワードに読み解いていく。
狭い意味での観光は、すぐ思いつくよう、単にビジネス・産業と言えよう。しかし、観光産業は現在、世界GDPの約10%を占め、2.7億人近い雇用を生み出している。(WTTC:世界旅行ツーリズム協議会調べ、2013年)
広義の「観光」はより一層重要ではないかというのが、文化交流ならぬ「交流文化」の立場だ。「観光」は「人の移動」と言い換えられるが、国外へ観光目的で移動する人は世界で年間10億人を超えた。(UNWTO:国連 世界観光機関調べ、2013年)こうしたグローバリゼーションそのものと言える「観光」・人の移動を、交流が生み出す文化の中でも特徴的な「文学」を読み解くことで探求する。
事例として取り上げるのは、日本と対称的な多文化世界である東南アジアだ。中でも、近代の移民である世界の華僑は東南アジアに8割が集中し、多文化世界の一角を担っている。彼らが国語でなく、母語で綴った華語系華人文学には、クレオール、民族摩擦、移動と交流の諸相の他、東南アジア近代の共通体験である日本軍政が顔を出すことさえある。なお今回は、できるだけ日本語でも読める作品を取り上げている。
観光学は経営学や地理学、社会学や人類学が乗り入れる複合領域だが、これまであまり取り上げられなかった文学の視点から「観光」を見ることで、観光学、中でも観光文化学に新たな視点をもたらすことができよう。これからはじまる「東南アジアへの旅」は、日本をはじめとする各々が今居る世界を、時代を、新たに見直すきっかけを与えてくれるだろう。
このコースでは、反転学習を行います。会場の立教大学池袋キャンパスは、20世紀初頭のレンガに蔦の絡まる美しい建築群ですが、保存建物でもあるモリス館教室で、皆さんをお待ちしています。
交流文学とは何か?移動し交流する文学世界を、主に東南アジア島嶼部を事例に考える。ナショナリズムの対立概念としての「グローバリゼーション」や、クレオール特に華僑華人、華語系華人文学といったキーワードについて学んで行く。
マレーシアの第一世代作家方北方の代表作で、邦訳や映画化もされた『ニョニャとババ』を取り上げ、クレオール華人三代の物語を、交流文学として読み解く。
マレーシアからシンガポールへの移民作家、丁雲を中心に、シンガポールのことば、特に二言語政策や、リークアンユーと中国語、文化砂漠と称されがちシンガポールの文学について考える。日本軍政時代「三年八箇月」が、戦中、戦後、独立後世代にどのように関心を持たれているかについても触れる。
イスラム、マレー語主流の多民族国家、多文化社会であるマレーシアについて、マレーシアから日本、ドイツ、アメリカと流転する女性作家シルビア・シエンを手がかりに、独立後の民族摩擦である五一三事件、国内治安法発動や、華語系華人作家の国外中国語世界での活躍について検討する。
なお、この講座には反転学習コースをご用意しています。シンガポール・南洋理工大学で在外研究中の担当者が一時帰国し、最新の状況を交え、まだまだ経済の文脈で語られることの多い、東南アジアの都市国家の交流文化・文学事情を対面講義します。一人当たりGDPでは2007年に日本を越えたシンガポールは、実はどのような国で、人々はどのように暮らしているのか? 対外的な観光立国によってどのような「國の光を観せる」(観光の語源)を実現しようとしているのか?受講者全員で講義内容、課題を共有し、小グループで短時間ながら議論も行う予定です。
早稲田大学を経て、97年から立教大学で教鞭を取る。現在、立教大学観光学部交流文化学科教授。著書・共著に『東南アジア文学への招待:マレーシア文学』、『日本占領下の英領マラヤ・シンガポール』等。
専門は観光学及び華僑華人研究。
白百合女子大学文学部仏文学科卒業後、立教大学大学院観光研究科博士後期課程修了、博士(観光学)。現在、立教大学兼任講師および白鷗大学非常勤講師。専門は観光学及びフランス語教育。
特になし
毎週の確認テスト数問と、制作物の提出と最終レポートを課します。なお、反転授業への参加者にはグループワークによる制作活動を課します。
得点率70%以上
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