講座内容
かつては工業製品の試作開発用に「RP(ラピッド・プロトタイピング)」という名前で活用されていた立体造形技術が、いま「3Dプリンタ」という親しみやすい呼称とともに社会に広がりはじめていますが、この技術の正確な内容、そして社会の中での活用法については、まだ十分に知られていないのではないでしょうか。
そして、「3Dプリンタ」よりも一段大きな用語として「デジタルファブリケーション」があります。レーザーカッター、ペーパーカッター、デジタル刺しゅうミシンなども含むこの概念で、「デジタルデータからものをつくる」ことを広く表しています。
この技術によって、これまでコンピュータの画面の中だけで完結していた人々の創造活動は、物質的なものまで展開できるようになり、デジタルファブリケーションは、情報と物質、デジタルとフィジカルが相互に行き来する新しい世界をつくりあげようとしています。
本講義では、3Dプリンタ(学術的にはAM:Additive Manufacturing)の技術、文化、社会、日本と世界での実践例、そして未来への展望について述べていき、「3D新時代」の新しいリテラシーを学びます。
第1週:技術の概要
- 3Dプリンタとデジタルファブリケーション
- 3Dプリンタの代表的な方式(1) RP(Rapid Prototyping)
- 3Dプリンタの代表的な方式(2) AM(Additive Manufacturing)
- 3Dプリンタの特徴
- Subtractive系の機械
- 3Dスキャンについて
- デジタルファブリケーションとは
第2週:デジタルデータの処理と流通
- デジタルデータを作る方法
- 3Dのモデリングとデータ処理(1) CAD
- 3Dのモデリングとデータ処理(2) CAE・CAM
- インターネット×デジタルファブリケーション
- オープンソースハードウェア
- フード3Dプリンタ
第3週:ファブラボの誕生と実践
- パーソナル・ファブリケーション
- ファブラボの誕生
- ファブラボの活動(1)
- ファブラボの活動(2)
- ファブ・アカデミー
- 日本とアジアの展開
第4週:未来のファブリケーション
- 未来のファブリケーション(1)~機能的な拡張~
- 未来のファブリケーション(2)~循環系の構築~
- デジタル・リサイクリング
- デジタル・マテリアルと日本文化
- ファブ社会の法的制度
- 人間の未来